第1話:売れない営業マン

第1話:売れない営業マン

それは、営業一年目のことです。

 

大学生上がりで、アルバイト経験もろくになかった私は、
幸運にも仕事に就くことはできましたが、

 

「営業」という世界が、
どういうものかわからずに就職していました。

 

「営業?」って、
どんなお仕事なのだろう。

 

ドラマとかでは聞いたことあるけど、
実際に営業マンに合ったことはないな。

 

「モノを売る仕事?」

 

そう言われても、なんだかわかるようでわからないような。
そんなところからスタートでした。

 

見積という概念に驚愕・・

 

私が最初に務めたのは、法人営業の仕事。
取引先も自分で開拓する必要があります。

 

ドキドキしながら飛び込み営業を実践すると、
最初の何件かはいけますが、徐々に
断られることを覚えて足がすくんできます。

 

そんなことを、数ヶ月続けていると、

 

同期で入社した新人が、
飛び込み営業で、少額の商品を受注してくる
という出来事が起きました。

 

私は心の中で
(えっ!?ほんとうに飛び込みで売れるの?)
という驚きを感じ、

 

契約を決めてきた、
同期の同僚に、秘訣を聞こうと質問をしました。

 

「ねぇ、Aくん。どうやって商品売ったの?」
すると返ってきたのは一言。

 

「ん?簡単だよ。見積もり出したら、買ってもらうだけだよ」
とAくん。

 

 

私は、あたまの中でクエスチョンが起きました。

 

「ミツモリ??何それ」

 

 

そして、しばらくしてようやく、
企業というのは、見積もりを発行して、
決済をするというプロセスを認識したのです。

 

(将来的に、この発想がきっかけで編み出したのが「見積富豪(みつもりふごう)」という技です)

 

そこから私の発想は少し変わりました。

 

飛び込み営業をして、
カタログを渡して、
ヒアリングして、退散
というプロセスから、

 

見積を出させてもらうには
どうしたらいいのか

 

ということを考えながら行動するようになりました。

 

極端な話、

 

見積もりさえ出させてもらえれば、
お客様は商品が検討できるため、

 

少しお話出来た企業には、

 

「見積もりをお出ししましょうか?」
と声をかけるようにしました。

 

たった、これだけですが、

 

少額の商品であれば、
トップでなくても、事務員さんでも
決済が出来る可能性があるため、

 

徐々にですが、数百円〜数千円の商品は
取引がスタートできるようになりました。

 

しかし、問題はここからです。

 

このやり方だけでは、
「金額の大きな商品」は
売ることが出来なかったのです。

 

第2話:涙の発契約へ