第2話:涙の初契約

第2話:涙の初契約

営業マンになって7ヶ月が経過した頃です。

 

ポツポツと数百円の商品は売れても、
とてもではありませんが、

 

お給料分の利益どころか、売上げも
上げられない状況が続いていました。

 

その頃には、足早に同期は、
大型の契約も上げることができるようになっており、
賞賛の拍手。

 

 

そろそろ私も売らないと、
この状況が続くときつい。

 

存在意義がないのではないか。

 

そう思うようになっていました。

 

 

しかし、どのように商品を販売してよいのかわかりません。

 

そんな時、コピー機の入れ替えの商談が
舞い込んできました。

 

あるお客様の10年未満経過したコピー機が
修理が難しい状況となり故障したのです。

 

コピー機といえば、
法人対象のビジネスでも、
高額商品の部類に入ります。

 

ちょっとやそっとじゃ売れない商品です。

 

 

このお客様は実は、定年前の先輩が、
転勤前に継続アプローチしていた先で、

 

その後、私が訪問を続けていました。

 

つまり完全な新規ではありません。

 

 

 

しかし、それでも、
商談は他社に決まる流れに傾きつつありました。

 

コピー機の商談発生となり、
あわてて訪問する私。

 

社長様と偶然居合わせ状況を確認するも、

 

「今回は、A社(他社)にお願いしようと思ってます」
と一言。

 

当時、20代で営業駆け出しの私は、
応酬話法もどうしてよいかわからず、沈黙。

 

 

売れなくて極限の状態だったため、

 

「わかりました。」と
引き下がることもできず。

 

でも、その商談をどうしてよいのかもわからず、
暗い表情でその場に立ち尽くしていました。

 

 

そのような状況で、
1〜2時間が経った頃、

 

 

その社長様は一言、

 

「もしかして君、コピー機売れたことないの?」
と私に質問をしました。

 

 

それに対して
「はい」と返事をする私。

 

 

すると今後は、
社長様が深刻そうな表情になりました。

 

 

「困ったな」とぽつり。

 

 

そしてもう一言、
「聞かなきゃよかった・・」
とおっしゃいました。

 

 

そして続けてこう話をされました。

 

 

「君がコピー機を売ったことないことを、
 知らなかったら、簡単に断れたのに、
 そんなこと聞いちゃった以上、断りにくくなった」

 

 

(この時点では、私は状況を把握出来ておらず、
 ただただ商談がひっくり返らないことに絶望していました)

 

 

そして、しばらくして、
社長様が一言。

 

 

「よしわかった。あなたから買おう。
 ただし、うんと安くしてね」

 

と言ってくれました。

 

 

それを聞いた瞬間、私は、号泣。

 

 

商談がひっくり返ったから、嬉しかったとか、
お客様の優しい言葉に感動したとか、
そういう感情ではなく、

 

わけもわからず、とめどなく溢れてきました。

 

 

その状況みて、社長様は話を続けました。

 

「ほら、あなたから買うから、
 今日はもう帰りなさい。見積もりもって、明日おいで。
 支払いは現金でするから」

 

 

私は、お礼と伝え事務所に立ち去りました。

 

 

お昼過ぎに訪問したはずなのに、
事務所を出ることは、夜になっており、

 

会社に戻って上司に報告すると、
みんなで本当に喜んでくれました。

 

 

翌日無事契約を済ませた私は、
コピー機の納品時に、
おもわず、商品と一緒に記念写真。

 

 

ここでようやく、
初受注を経験することができました。

 

 

そして大事なのはここからです。

 

まだ、飛び込み営業で新規から
大型契約をもらったことはありません。

 

 

結論から言うと、その半年後、
飛び込み営業で商品がどんどん売れるようになるのですが、
そのときに出会ったのが、「サンタ営業」だったのです。

 

第3話:サンタ営業との出会いへ